薬剤師の宮本知明さんのブログ「holistic healthscare labo」記事の紹介です。
以前から気になっていることを今回書きました
それは、よくワクチンの内容で書かれている方が多いのですが
「ワクチンは劇薬だから・・・」みたいな投稿をする方が多いんですよね
私としては、気にしてほしいのはそこではないのですがね・・・
何でそこではないのかも踏まえて薬の分類について見ていきましょう
医療用の劇薬があるとき普通薬になった
まだ皆さんの頭の中にも新しい記憶だと思っていますが・・・
ロキソニンが数年前は劇薬でした
それがあるときに普通薬となりました

見てわかるとおり、赤い枠と文字がなくなって黒文字だけになりました
これって何の違いか気にしたことありますでしょうか?
もしワクチンは劇薬だからと言って打つことを警告している人にとっては
「普通薬になったから劇薬のときよりも安全になった」
なんて考えるのでしょうか?
正直言って中身は何も変わっていませんが・・・
同じ薬の名前・成分なのに普通薬と劇薬が混在する薬
皆さんは風邪をひいたときに薬を飲まなくても自然に治ることを知っている人が多いかもしれませんね
ただ、どうしてものときには、この薬を使いましょうなんてものを聞いたことありませんか?
多くの方がアセトアミノフェン(商品名:カロナール)という薬がそれにあたる場合が多いようです
特に小児用の解熱剤にはアセトアミノフェンを成分とするものが多いです
アセトアミノフェン含有市販薬一覧
- 【第2類医薬品】小児用バファリンCII
- 【第2類医薬品】バファリンルナJ 12錠
- 【指定第2類医薬品】小中学生用ノーシンピュア 24錠
- 【第2類医薬品】ノーシンホワイトジュニア 36錠
- 【第2類医薬品】タイレノールA 20錠
- 【第2類医薬品】ラックル 24錠
など・・・
ただ、この医療用のアセトアミノフェンのカロナールには普通薬と劇薬があります
- カロナール原末
- カロナール錠200・300・500
- カロナール細粒20%・50%
- カロナールシロップ2%
- カロナール坐剤小児用50・100・200・400
この中に劇薬が混じってますがどれだと思いますか?
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・
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正解はカロナールの
- 原末
- 錠500
- 細粒20% 劇薬(分包品を除く=瓶容器)
- 細粒50% 劇薬(0.6g分包品を除く=瓶容器)
- 坐剤400
です
逆に言うと
- 錠200・300
- 細粒20% (分包品)
- 細粒50% (0.6g分包品)
- シロップ2%
- 坐剤小児用50・100・200
は普通薬です
錠のパッケージを見ても
カロナール錠200

カロナール錠300

カロナール錠500

ほら見てみてください
500になってから白地に赤い枠・文字になってますよね

劇って書いてありますよね
同じカロナールなのに何でこんな違いがあると思いますか?
そして、劇薬ってどう決めてると思いますか?
薬の分類
医療用の薬には
普通薬・劇薬の他にも毒薬が存在します
また、さらに特別な「生物由来製品」「特別生物由来製品」があります
まずは、劇薬と毒薬の違いです
表示の違いですが
劇薬は、白地に赤枠・赤字に劇
毒薬は、黒字に白枠・白文字に毒
と表記します

そして、この劇薬・毒薬の区切りですが
劇薬
- 飲み薬:300 mg/kgを超えてはいけない量
- 皮下注射:200 mg/kgを超えてはいけない量
- 静脈注射:100 mg/kgを超えてはいけない量
毒薬
- 飲み薬:30 mg/kgを超えてはいけない量
- 皮下注射:20 mg/kgを超えてはいけない量
- 静脈注射:10 mg/kgを超えてはいけない量
これに加えて
1)薬用量の10倍以下を長期連続で投与した時に障害を認めるもの
2)安全域が狭いもの(致死量と有効量、中毒量と薬用量)
3)薬用量において副作用の発現率が高いもの
4)蓄積作用や薬理作用が激しいもの
が劇薬か毒薬に含まれます
カロナール錠の場合

青枠で囲いましたが
錠500だけが劇薬です
ロキソニン・カロナールの個人的な考察
ここの章は、私の考えになりますので、読み物程度に
実は、カロナールに新たな承認がありました
平成 23(2011)年 1 月 21 日に、用量拡大(1 回 1000mg、1 日総量 4000mg まで)及び効能追加(変形性関節症)が承認された
この変形性関節症の治療に用いる際に、今までは1日1500㎎までが制限だったのが4000㎎まで処方できる可能性が出てきました
このときに200㎎の錠剤をわざわざ1日20錠も渡して飲ませることはしないですよね
500㎎の錠剤を1日8錠にするのが処方として妥当です
そんな今までよりも高濃度で使う可能性を考えた薬の用量を作ったという意味で劇薬としたのではないかなと考えます
他にもカロナール原末も計り取る量によっては、アセトアミノフェンの量を自由にできてしまうので劇薬としたと考えると納得が行く気がします

新たな病気の承認が得たことで一番大きな用量が開発されて、それを劇薬にした
または、調剤する人間のさじ加減でコントロールできてしまうものを劇薬にした
こう考えるのが一番良いような気がしますが、細かいところは指定した側の人にしか分かりません
そして中にはこんなことを考える人がいます
カロナール錠500が劇薬扱いであれば
カロナール錠200と300を1つずつ飲んだら劇薬扱いではなく普通薬を2つ飲むことなります
普通はしませんが・・・
ここで言いたかったのは
薬を飲んだ量が増えたらすべて劇薬であり、さらに増やせば毒薬になるんです
最初のそれぞれの基準を示しましたが
劇薬 飲み薬:300 mg/kgを超えてはいけない量
毒薬 飲み薬:30 mg/kgを超えてはいけない量
表記がされていないからと言ってたくさん飲んでいいわけではないのです
市販薬でも同じことです
ロキソニンが劇薬から解除された理由は
1)薬用量の10倍以下を長期連続で投与した時に障害を認めるもの
2)安全域が狭いもの(致死量と有効量、中毒量と薬用量)
3)薬用量において副作用の発現率が高いもの
4)蓄積作用や薬理作用が激しいもの
用量の問題ではなく、このいずれかの問題が解消されたことだと考えられますが
この真意も決めた側でないと分かりません
もっと気にしてほしい薬の表記
そして、ワクチンが劇薬とかいうのを気にしていることにはあまり意味がないことを前の薬のことで言いたかったことで
ワクチンでもし気にするのであれば
「生物由来製品」
という部分です
生物由来製品とは
医薬品医療機器等法で「生物由来製品」とは、人その他の生物(植物を除く。)に由来するものを原料又は材料として製造される医薬品、医薬部外品、化粧品又 は医療機器のうち、保健衛生上特別な注意を要するものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものとされています。
また「再生医療等製品」とは、人の細胞に培養等の加工を施したものであって、身体の構造・機能の再建・修復・形成や、疾病の治療・予防を目的として使用するものや、遺伝子治療を目的として、人の細胞に導入して使用するものとされています。
具体的には、医薬品としては、輸血に用いられる血液製剤など人由来のものをはじめとして牛や豚等の動物由来のものなど数多くのものがあります。また、医療機器としては、動物の心臓弁や人及び動物由来の成分を塗布したカテーテル類など様々な種類のものがあります。
※引用:PMDA
もっと簡単に言うと
何かしらの生物から得たものを材料として作った医薬品・医療機器を指します
人間以外の動物から作られたものも含みます
主にワクチン、トキソイド、遺伝子組換え製剤、動物成分抽出製剤、動物由来心臓弁などがそれにあたります
またこの生物由来製品の中で更に「特定生物由来製品」というものがあります
主に輸血用血液製剤、血液凝固因子、人血清アルブミン、人免疫グロブリンなどの血液製剤、人胎盤抽出物(プラセンタ)など
すべて人に由来するものが含まれます
両方とも厳重な管理をされているので薬としてもハイクラスです

上記のような印がついており
生物由来製品を販売しているもとでは10年間記録ロット番号や販売先などを記録して保存しないといけません
特定生物由来製品の場合には、販売しているもとは30年間、病院・薬局でも患者さんの名前・住所などを含め20年間記録を保存しないといけません
それだけ何かあったときに、特に感染症が起きた時に情報を提供しないといけません

ボトックス注射は生物由来製品の毒薬です
これ、乳児にはちみつを食べさせてはいけない
乳児ボツリヌス症のボツリヌス毒素と同じですよ
ちなみに美容で使われるプラセンタ注射ですが・・・

特定生物由来製品ですが普通薬です
どこにも劇薬・毒薬の文字はありません
ワクチンに関しての話だけでいうと
劇薬であるよりも生物由来製品であることをもっと警告するのことが大切であり
(赤いから危険だと言うのは考えが浅すぎです、すべてリスクありです)
同時接種なんてことを考えることはしないはずなんですよね・・・

生物由来製品って書いてありますよね
まとめ
いろんな方面から書いてしまいましたが
一番伝えたいのは
「劇薬だから危ない!!」
みたいな注意の仕方はないということです
すべて危ないです!
そして、ワクチンで何か注意を言うのであればもっともっと重要な
生物由来製品であることを伝えるのが、本来は一番伝えるべきことだと思います
そこが完全に抜けている方が多いし、その意味を知らない人も多い
また薬の区分的な話も知らない人はたくさんいたはずです
この機会に再度考えてみてください
薬はそんな容易く扱える代物ではないということを
そして、一番は受け身の治療ではなく自分でも何かできないか動きながらの治療であることを
ワクチンの説明をするときも誰かの説明をコピーするのではなく
もっと用語を調べて薬のワードを理解できるようにすれば
ワクチンだけでなく薬の勉強にもなると思うのです

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